康里トウトウ筆草書詩書巻,紙本墨書,元時代,14世紀,高島菊次郎氏寄贈
康里トウトウ(1295-1345)は,西域の康里部出身。漢人同様の教養を身につけ,書にも巧みであった。李白古詩?自作古詩の各1首と,唐人の五言絶句6首の3種を1巻に装幀したもの。犀利な露鋒と遒勁流美な筆致で,間に元の張雨や明の文徴明等の跋がある。
無相居士あて尺牘紙本墨書,大慧宗杲筆,縦37.9 横65.5,南宋時代,12世紀,松平直亮氏寄贈
圜悟克勤の法嗣で,大慧派の始祖と仰がれる大慧宗杲(1089-1163)は,秦檜による政争にまきこまれ,湖南の衡州さらには広東の梅州に流謫された。本幅は,梅州に謫居していた大慧宗杲が,会下の無相居士へ送った尺牘である。無相居士の伝記は詳らかでないが,俗名を鄧子立といい,大慧とはごく親しい間柄であったらしい。大慧墨跡中最も珍重される名跡の一つで,江月宗玩を経て,のち松平不昧公が愛蔵し,同家に襲蔵された。